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内視鏡検査についてEndoscope
内視鏡検査について
Endoscope
内視鏡検査とは
EG-530N
一般的には「胃カメラ」と呼ばれることもあり、太さ5.9mm、長さ1100mmのスコープを挿入し、胃や小腸・大腸などの消化管を肉眼的に観察する検査の事です。
口から挿入することで食道・胃・十二指腸を、肛門から挿入することで直腸・結腸を観察することができます。
当院の内視鏡は外径が5.9mmと細いタイプのため、小型犬・猫の場合でも、負担を少なく内視鏡検査を実施することが可能です。もちろん一定以上の中型犬でも可能です。
従来の治療法では開腹手術を行わなければいけない症例でも、動物の体に優しい、侵襲の少ない検査・治療を行うことができます。
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内視鏡先端5.9mm
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先端は180度屈曲し、
消化管内をくまなく観察します
内視鏡検査の適応
どのようなときに内視鏡を使用するのかをご説明します。
①消化管内異物の摘出・異物の有無の確認
動物の内視鏡を行ううえで、最も頻度が多く、かつ重要と考えられています。
腸閉塞(腸に異物がつまってしまうこと)の可能性のあるものを食べてしまったとき、異物を食べてしまったかどうかわからない・もしくは確認する必要があるとき、などに最も適しています。
内視鏡がない場合は消化管造影検査(一般的に、バリウム検査)を行うこともありますが、内視鏡を行うことで肉眼的に消化管内を確認できますので、異物の有無を確定させられます。
②消化管粘膜の採取
慢性的な嘔吐や下痢、血便を繰り返す場合、消化管の粘膜に異常があることがあります。
(代表的な疾患:胃十二指腸潰瘍、胃がん、消化器型リンパ腫、炎症性腸疾患、リンパ管拡張症、炎症性直腸ポリープ、など)
その場合、胃や腸の粘膜を採取し、病理検査を行う必要があります。
内視鏡を使用することで、開腹手術をせずに組織を採取することが可能です。
内視鏡検査の実際
通常は12時間の絶食・3時間の絶水をお願いしております。
(異物摘出の場合、多くが緊急処置ですのでこの限りではありません)
そうすることで消化管内の食物がなくなり観察・処置がしやすくなるからです。
午前中にいらしていただき、お昼の時間帯に処置を行い、夕方のお迎えの原則日帰りで行えます。
胃や小腸などの上部消化管の内視鏡処置には全身麻酔を使用します。
結腸・直腸などの下部消化管の場合、処置の内容によっては麻酔をかけずに行うこともあります。
内視鏡検査のデメリット
低侵襲である、動物の負担が少ない、入院の必要がほぼない、などのメリットの多い内視鏡検査ですが、デメリットもあります。
①異物のサイズ・形状によっては摘出できない場合がある。
②十二指腸より遠位の小腸を肉眼的に確認することはできない。
③粘膜を採取する際、粘膜の深い部分は採取できないことがある。
内視鏡の先端は非常に小さく、細かい動作ができる反面、異物が球状ですべりやすかったり、つかむことができないほど大きい場合は内視鏡で異物を摘出することができません。
また物理的な長さの問題で、十二指腸より奥の消化管は確認することができません。
以上のような場合は、開腹手術に処置を変更することもあります。
最後に
内視鏡の処置は原則、全身麻酔下にて行いますが、開腹手術に比較すると非常に体の負担は少なくなり、入院の必要性もほぼありません。
しかしながら処置内容に限界がある場合もありますので、ご家族とご相談の上、最善の処置を行うことを心がけています。
また全身麻酔がご不安な方は、一度ご相談ください。